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貿易取引における決済方法について

2018.03.02

 今回は、少しグローバルなお話をしてみたいと思います。
 商取引において、商品の引渡しより先にお金を渡す場合(先払い)には、買主が商品を受け取れないリスクを、商品受取り後にお金を渡す場合(後払い)には、売主が代金を受け取れないリスクを負うことになりますが、これが海外との貿易取引ともなれば、そのリスクは一層増大します。商品の輸送に時間がかかるため、商品の引渡しと代金決済にはどうしてもタイムラグが生じてしまいますし、言葉も商慣習も異なる国の者同士で行われる取引ですから、なんとなく「リスクの塊」であることは、誰しも想像がつくところです。さらに初めての取引の場合には、相手との信頼関係を未だ十分に築けていないので、不安(リスク)はもっと大きなものになるでしょう。
 このリスクを回避するために利用されるのが、信用状取引です。「信用状」は、英語でLetter of Creditといい「L/Cエルシー」と略されます。
 「信用状(L/C)」とは、簡単に言うと、輸入者(買主)の取引銀行が、輸出者(売主)に対し、代金の支払いを確約する保証状のことです。輸出者(売主)は、契約条件に従って商品を船積みし、必要書類を銀行に提出することで、銀行から代金を受け取ることができます。一方、輸入者(買主)は、銀行にお金を支払って必要書類を入手し、これを船会社に提出することで、商品を受け取ることができます。つまり、信用状取引を利用すれば、銀行が、輸入者の代わりに商品代金の支払いを保証することになりますから、輸出者は、代金を受け取れないというリスクを回避することができますし、また銀行は、輸出者に対し信用状条件通りの書類の呈示(商品を船積みしたことを証明する船荷証券など)を求めますから、これにより輸入者は、商品を受け取れないというリスクを回避することができるのです。
 このシステムによって、遠く離れた国々と安全にスピーディーに貿易取引を行なうことができるようになり、世界は一気に発展しました。「信用状(L/C)」は、輸出者・輸入者がどちらも安心して貿易取引を円滑に進められるよう工夫された、非常に良く出来たシステムなのです。
 インターネットの普及や物流システムの発展等により、貿易を取り巻く環境も変化してきており、信用状取引も、以前ほどは利用されなくなっているようですが、それでも、貿易を行ううえでは必須の知識ということで、今回ご紹介させていただきました。

弁護士 井上 彩

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