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日本語のはなし ~ 「及び」,「並びに」,「又は」,「若しくは」~

2019.10.25

 ちょっとした言葉の意味の取り違いなどで,文章の意味が変わってきてしまうことがあります。そこで,法律を読むときや契約書を作成するときなどに注意したい法令用語について,少しお話したいと思います。今回は,「及び」,「並びに」,「又は」,「若しくは」といった接続詞の使い方を御紹介します。
1 「及び」と「並びに」
 二つの言葉をつなぐときに使うのが「及び」と「並びに」です。どちらも英語でいうと「and」の意味ですが,法令用語として用いる場合には,使い方に少しルールがあります。
 単純に2つの言葉をつなぐときは,「及び」を用います。例えば,AとBをつなぐ場合,「A及びB」となります。3つ以上の言葉を並列で並べるときには,最後だけ「及び」でつなぎ,それまでは読点(,)でつなぎます。「A,B,C及びD」といった具合です。
 次に,名詞を階層的につなぐ場合,すなわち,大きな塊と小さな塊に分けて,それをそれぞれ接続詞でつなぐ場合です。小さい塊は「及び」でつなぎ,大きい塊は「並びに」でつなぎます。例えば,「A及びB並びにC及びD」とある場合,「{A及びB}並びに{C及びD}」と読むことになります。
2 「若しくは」と「又は」
 二つとも英語の「or」の意味ですが,こちらも,使い方にルールがあります。
 単純に二つのものを選択的に並べるときは「又は」を使います。「A又はB」という具合です。選択肢が3つ以上の場合は,最後だけを「又は」でつなぎ,それまでは読点(,)でつなぎます。「A,B,C又はD」という具合です。
 選択的な接続が階層的になる場合,小さい方の接続には「若しくは」を,大きい方の接続には「又は」を使います。「A若しくはB又はC若しくはD」とあれば,「{A若しくはB}又は{C若しくはD}」と読むことになります。
 ここで,実際に法律の条文を見てみましょう。刑法68条1号には,「死刑を減軽するときは,[無期の(懲役若しくは禁錮)]又は[十年以上の(懲役若しくは禁錮)]とする。」とあります。「懲役」と「禁錮」という小さい塊が「若しくは」で結ばれて,それを更に「無期の・・・」と「十年以上の・・・」という大きな塊が「又は」で結ばれていることが分かります。
 「及び」,「並びに」,「又は」,「若しくは」といった接続詞が多用されている文章は,決して読みやすいものではありませんが,契約書などで読まないといけないときなどは,塊ごとにかっこでくくって読んでみると,少しは読みやすくなるのではないでしょうか。

弁護士 藤井 安子

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