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弁護士の証拠収集方法について

2019.11.15

 弁護士の仕事と聞いて,多くの方は,訴訟遂行や契約書等の法律文書の作成,相手方との交渉等を思い浮かべるかもしれませんが,事実の調査や証拠収集というのも弁護士の仕事の重要な一部です。
 では,弁護士はどのような方法で事実の調査や証拠の収集をするのでしょうか?まずは依頼者から事情を伺い,手元にある関係資料を入手することが,その第一歩です。それから,御本人では収集できない資料や知りえない事情について,弁護士の方で調査等を行うことになります。その際,役に立つのが「弁護士法第23条の2第2項に基づく照会」といわれるものです。通常,「23条照会」あるいは「弁護士会照会」などと呼ばれています。
 弁護士法第23条の2には,以下のような規定があります。

(報告の請求)
1 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があった場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 この規定に基づいて,弁護士は,弁護士会を通じて,各種の団体等に照会し回答を求めることができます。
 例えば,訴えを提起するためには相手方の住所を特定する必要がありますが,服役中の相手方について,どの刑務所に収容されているかを法務省に照会することができます。また,電話番号しか分からない相手方に対して,当該電話番号について契約者の氏名や住所等を電話会社に照会することがあります。
 交通事故による損害賠償請求事件では,23条照会を利用して実況見分調書等の刑事記録を入手します。信号の色が争点の場合には23条照会で警察等から信号周期表を取り寄せますし,また,相手方の自動車保険の加入の有無を照会したりすることもあります。
 このように23条照会は,法律に基づく照会のため,一般の方が聞いても教えてくれない事項についても回答を得られることがあり,証拠収集手段として有用です。もっとも,何でも訊けるわけではなく,事件との関係で照会の必要性・相当性がなければなりませんし,照会先から回答を拒否されることもあります。また,弁護士は23条照会を行うことだけの依頼を受けることはできないとされています。
 このほかにも23条照会等を利用して事実の調査や証拠収集のできる場合がありますので,もし何かお困りのことがあれば,お気軽に御相談ください。

弁護士 藤井 安子

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