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ピアノの騒音問題について

2018.03.02

 最近、学生の頃に習っていたピアノのレッスンを再開しました。平日はなかなか時間がとれませんが、週末はピアノにむかい、大好きなショパンの曲を弾くのが私の今の一番の楽しみとなっています。
 切なく美しいショパンの調べは、いつまで聴いていても飽きないものですが、これも時と場合によっては深刻な問題を引き起こします。そう、騒音問題です。ピアノ騒音殺人事件なるものも起こったことがあるそうですから、穏やかではありません。
 騒音裁判も数多く提起されていますが、騒音で損害賠償が認められるためには、その騒音が「受忍限度を超えている」ことが必要になります。受忍限度とは、社会通念上我慢できる限度のことを言い、音の発生時間帯や性質・程度、被害状況などから総合的に判断されます環境省では、環境基準法に基づき、騒音の目安となる一応の基準値も定められています(住宅地の場合、昼間は55デシベル以下、夜間は45デシベル以下)。
 私もよくこういったご相談を受けますが、「加害者」側のご相談も「被害者」側のご相談も正直なかなかの難問です。「音」の問題を発端として、両者の複雑な感情が絡み合い、法律だけでは解決できない状況になっていることがしばしばです。要は、互いに思いやり、相手に対しては寛容な気持ちを持って暮らしていくことが大切です。でもそれができたら誰も苦労しませんよね。
 かくいう私のピアノ、この原稿を書いていて改めて気づきましたが、これこそ誰が聞いても騒音にしか聞こえない代物です。ご近所迷惑にならないように、細心の注意を払って楽しみたいと思います。
 肝心の本業の方は、依頼者の皆様のお役に立てるよう、より一層精進してまいります。

弁護士 井上 彩

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