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裁判所へGO

2018.03.02

 仕事あるいは裁判の当事者にでもならない限り、日ごろ、裁判所へ行くことは余りないかもしれません。もっとも、最近では、当事者や関係者以外の方が裁判を傍聴されているのも、よく見かけます。
 日本国憲法には、「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」(37条1項)、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」(82条1項)とあります。このように、憲法が裁判の公開を保障しており、基本的にだれでも自由に裁判を傍聴することが出来ます。
 もし、裁判を傍聴されるのでしたら、刑事事件が分かりやすくておすすめです。民事事件は、実質的に書面審理が中心で、関係者以外の方が傍聴しても、裁判の内容が分からないことがほとんどです。
 ほとんどの裁判所に、一階ロビー又は玄関付近に、当日の開廷表がとじられたファイルが置いてあり、その日に予定されている裁判の時間と簡単な内容、法廷を確認できるようになっています。このファイルは、来庁者が自由に閲覧できるようになっていますので、ここで、どの裁判を傍聴するか大まかな目星をつけていただくことができます。法廷の前にも、法廷ごとに開廷表が張っています。開廷表に「第1回」、「初回」又は「新件」などとあるものが、途中からではないので、分かりやすいかもしれません。
 法廷の中へは、基本的に自由に出入りできます(世間をにぎわす大事件でもない限り、傍聴券などありません。)。法廷の出入口のドアには小窓がついていますので、そこから、まず、法廷の中の様子をのぞいてみてください。そして、傍聴人入り口のドアから、法廷の中に入って、傍聴人席に座るだけで、裁判を傍聴できます。
 裁判所には人間ドラマがあふれています。もし、裁判所の近くにお越しの際には、少し法廷をのぞかれてみてはいかがでしょうか。参考までに、私の好きな裁判所をご紹介いたします。

◯神戸地方裁判所
 とにかく印象的な建物です。庁舎建物の1、2階部分の外観は、赤レンガ造りとなっていて、明治時代の面影を残しています。そこに、後から上階を増築したらしく、3階から上が鏡面仕様となっています。賛否両論あるようですが、良く言えばルーブル美術館といったところでしょうか。庁舎建物内部は、正面玄関を入ってエレベーターホールを抜けた先が吹き抜けとなっており、開放的な空間となっています。法廷は主に正面階段を上った2階にあります。この1、2階部分は、天井も高く、重厚な造りで、いかにも神戸の洋風建築という感じがします。近くには湊川神社(楠公さん)やハーバーランドもあります。

◯奈良地方裁判所
 近鉄奈良駅を出て、行基像を右手に見ながら登大路を登っていくと、すぐ裁判所です。奈良公園や興福寺などが近くにあり、緑に囲まれた環境のいいところです。10年ほど前に改築された庁舎建物はガラス張りで、建物の内部も明るく開放感があります。そして、運がよければ、裁判所の敷地内で鹿を見ることができます。私自身、鹿の群れに遭遇したことは数回しかありませんが、庁舎の前の芝生に鹿の親子を見たりすると、少し幸せな気持ちになれます。残念ながら鹿にあえなかった日は、芝の上に転がっている黒い丸い物体を横目に見ながら、今日はついていると自分に言い聞かせながら、帰路につきます。

弁護士 藤井 安子

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