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無料ウェブ広告掲載に注意!

2020.02.14

 最近,インターネット上で求人サイトを運営する会社(以下「運営会社」といいます。)から「一定期間無料で求人サイトに求人広告を掲載できますよ」との勧誘が電話やFAXなどで行われ,それを信じて申込書を送付したところ,いきなり高額な広告掲載料を請求される,というトラブルが相次いでいます。
 実は,この無料求人広告の申込書とされる書面には,注意事項で「解約申し入れのない場合,自動的に有料広告へと移行します」という趣旨の文面が含まれています。ただしこの注意事項は申込書から目立たないうえ(特にFAXが利用されている場合は,文字自体がつぶれていることもあります。),何より「無料プラン」という文字が大きく記載され,勧誘時にも無料であることが強調されるため,勧誘を受けた会社の担当者は,「一定期間無料で広告が掲載されるならいいか」と考えて申込みを行い,一定期間の経過により有料広告へと自動更新されてから広告掲載料の請求書が届いてはじめて上記条項に気付いて,トラブルとなるのです。同種のトラブルは2018年秋ころから急激に増えており,このような手法をとる運営会社は20社以上確認されています。ターゲットとなる会社は人手不足に悩む中小企業や個人事業主が多く,猫の手も借りたいという気持ちにつけ込んだ手法といえるでしょう。
 また,同種契約が仮に一般消費者に対してなされた場合,「故意による不利益事実の不告知」となる可能性が高く,消費者契約法4条により契約の取り消しができますが、今回の契約当事者は,一般消費者ではなく事業主であることから,上記条項を適用することができません。これも、事業主が「こちらの落ち度だったから請求金額を支払わなくては」と思う一つの理由となります。
 このような求人広告トラブルに関しては,既に複数の弁護士会で会長声明が出されるなど、全国的な問題になりつつあります。また,請求金額が事業主側で支払えない金額ではないため(請求金額は数十万円のことが多いです。),結局支払ってしまうケースも多く,実際に被害に遭っている事業者は弁護士会で把握できている件数の何倍にものぼる可能性があります。
 では,このような問題に対してどのような対応をすればよいのでしょうか。まず,勧誘を受けた際には,申込書にどのような記載があるのかをよく注意していただくことが必要です。また,既に掲載料の請求を受けた場合でも,申込書の記載内容や説明の状況などによって,支払義務があるかは異なります。裁判となった場合でも,事情を説明した結果,運営会社側が請求を取り下げる事例も複数確認されています。勧誘を受けて申込みをしようとする場合や実際に請求を受けた場合には,弁護士に相談されることをおすすめいたします。

弁護士 角石 紗恵子

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